幻の新曲だった!「ポルケ/哀しき小鳥のワルツ」 |
ご覧の写真の通り、昭和45年2月の臨時発売新譜に「ポルケ/哀しき小鳥のワルツ」が予定されていたようです。
しかも臨発ダイジェスト、見本盤、これから売り出そうとする新曲を集めたはずのものなのに、この時点で「発売中止」の文字が・・。
結局この2曲は陽の目を見ることなく埋もれてしまう運命にあったのでした。
このレコード番号BS-1127は伊東ゆかりさんの「裸足の恋/夢を追う女」になります。
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それから21年の時を経て「ザ・ピーナッツ・ドリーム・ボックス」の「夢のボーナス・トラック」に「未発表曲」としてCD化され、初めてその歌を聴くことができたのでした。
レコード番号まで割り当てられていたものがどうして発売中止になったんでしょう。
この曲をボックスで聴かれた方もいらっしゃると思いますが、2曲共作詞はなかにし礼、作曲は吉村英世と言う聞き慣れないお名前の方でした。編曲は「ポルケ」が宮川先生、「哀しき〜」が森岡賢一郎先生。
宮川先生もこの時点でピーナッツのシングルA面の編曲をされていたんですね。
結果的にお蔵入りになってしまいましたけど。
で、この吉村さんてどういう人だろうとインターネットで名前を検索してみるとそれらしいものは数件ヒットします。
その方とこの作曲者が同じ方なのかどうかはよくわかりませんが周辺の方たちを見ると中村八大、三保敬太郎と言う名前も出てくるし、シャンソン関連の事もされてきたらしいので、そうかなとも思います。
他には永六輔のだれかとどこかでの後テーマを作曲されているようでした。
ピーナッツの1970年最初のシングルとして予定されながら発売中止になったのはどうしてか。
やっぱりこの時期ピーナッツのシングル曲は難しい時期にさしかかっていたのかもしれません。
ここが問題ですね。
昭和44年の新曲は「悲しきタンゴ」「哀愁のヴァレンティーノ」そして前作の「野いちご摘んで」。
なかにし礼さんの詩は「恋のフーガ」から始まり「恋のオフェリア」「ガラスの城」そして前述の「悲しきタンゴ」「哀愁のヴァレンティーノ」とヨーロッパ映画の場面を思わせるような独特の詩の世界。「ポルケ」はこの路線の延長のような曲(シチュエーションはさらに狭められ室内に籠っている)
かわって「悲しき小鳥のワルツ」は前作の「野いちご摘んで」(作詞は山口あかり氏)路線ぽい曲ですよね、それかNHKみんなのうたの「カンタカナリート」的かな。
どちらもこの時期の歌謡界の流れには沿っていないというか、ピーナッツのこの時期の一連の作品は、全く独自の世界を進んでいたような気がします。
一方で筒美京平氏による和製ポップス全盛の頃、もう一方で藤圭子を筆頭に演歌新時代とでも言うべき頃。
こういう歌謡界に「ポルケ/哀しき小鳥のワルツ」はヒットは難しいとピーナッツ大ファンの私でも思います。
そこで全く新たな戦略を練り直したのではないかと考えるのです。
結局2月の新曲は見送られ3月に「男と女の世界/しあわせの誓い」が発売されることになります。
みなさんもよくご存知だと思いますが、当時ザ・タイガース在籍中の沢田研二作曲、山上路夫作詞、編曲はハプニングス・フォーのクニ河内、しかもプロデュースがかまやつひろしと言う全く新しい顔ぶれによる新曲となりました。
しかし、これだけテコ入れした新曲もプロダクション主導の影が見え隠れ・・・。
作家陣にはそれまで築いてきた実績に対する自信もあったと思うし、新しい作家の起用にも中々踏み切れない事情もあったかもしれません。
ジュリーの起用はかなり話題にはなったはずですが・・・。
でもこれだけ思い切ったことをしたのにもかかわらずチャート的にもオリコン96位とギリギリ100位に入ったものの、話題性があったわりにヒットはしませんでした。次回作の「東京の女」の方がヒットしましたね。
私も「東京の女」はよく覚えていますが「男と女の世界」は印象にありません・・・。
まだ子供だったし・・・。
昭和44年から45年にかけてデビュー10周年を迎えたザ・ピーナッツは・・・
ヒット曲歌手と言う範疇からはちょっと外されてしまった時期・・・だったのでしょうか。
これはあくまで私の勝手な思いで書いています。
それは違うよ、当時こんな風だったよというご記憶や御意見をお持ちの方はぜひともそのあたりを教えてくださいませ。
でもCDボックスでこういう曲を聴くことが出来、新たな気持ちで「こんな曲が眠っていたのね」という程度に考えて聴くのも良し。それもピーナッツの歴史の1ページ。
尚1991年に出た「ザ・ピーナッツ・ドリーム・ボックス」はいよいよメーカー在庫が無くなりそうです。
ひょっとしたらもう注文しても買うことができないかもしれません。(詳しい在庫数は未確認です)
CDショップが独自に店頭在庫を抱えていれば話は別ですが。
もう一つのボックス「ザ・ピーナッツ全集」こちらはまだ大丈夫です。
「ポルケ/悲しき小鳥のワルツ」も入ってます!こちらの6枚組全集もバランスよくザ・ピーナッツの歴史が納められていて価格的にも買いやすいと思うのでお勧めです。
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