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ザ・ピーナッツ・シングルス 恋のバカンス
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★ザ・ピーナッツ・シングルスの第2集です。
こちらは昭和36年12月の『イエロー・バード』から38年11月の『東京たそがれ』までのA・B面が収録されています。ただ、『東京たそがれ』の次にリリースされた『ジングル・ベル・ホワイト・クリスマス』が収録されていません。この曲は以前出た2枚のクリスマス・ソングとは違うバージョンですよ。再発売ならともかく新録音のものなのに。(次の3集は悲しきカンガルーからスタート)またまた完全版じゃない。どおして?

1999年5月28日発売

DISC-1
  1. イエロー・バード
  2. いつも心に太陽を
  3. ふりむかないで
  4. 君去りし夜
  5. 夕焼けのトランペット
  6. 私と私
  7. モスコーの夜は更けて
  8. イエスサリー
  9. さいはての慕情
  10. 手編みの靴下
  11. レモンのキッス
  12. 若い季節
  13. 祇園小唄
  14. 夜霧に泣くブルース
  15. 恋のバカンス
  16. 舞妓はん音頭
  17. 東京たそがれ
DISC-2
  1. あなたに夢中
  2. 山小屋の太郎さん
  3. アテネの恋歌
  4. あなたなんかもういや
  5. ローマの恋
  6. 幸福のシッポ
  7. 初恋のところ
  8. グッド・ラック・チャーム
  9. ジョニー・エンジェル
  10. 二人の高原
  11. 恋のジューク・ボックス
  12. わたしの心はうわのそら
  13. 深川くずし
  14. トンボラ
  15. チャオ
  16. うちら祇園の舞妓はん
  17. こっちを向いて

このころになると、カヴァーものに加えてオリジナルも増えてきています。初のオリジナルヒットとして有名な『ふりむかないで』が登場しますが、その前作に『いつも心に太陽を・山小屋の太郎さん』が出ています。
『山小屋の太郎さん』はこの時代のレジャー・ブームにあやかったような企画で『スキーかついで早く行こうよ』という歌詞がいかにものどかなこの時代を象徴しているようで、ほほえましい歌です。さしずめ現代だと『宅配便に頼んで手ぶらで行こうよ』なんてことになるでしょうか。太郎さんという名前も男なら太郎、女なら花子さんという安直な発想が生かされた?タイトルです。

ザ・ピーナッツの大ヒット曲『ふりむかないで』、『恋のバカンス』、『東京たそがれ(ウナ・セラ・ディ東京)』の3つが収録されていて、ヒット曲歌手としての全盛期がこの時代だったのでしょう。
そして日本のポップス系の歌謡曲の原型のようなものがこの3つの曲で確立されたのではないでしょうか。
3曲とも色あせるどころか現代の若い人たちにもカラオケやリミックス・ダンス・バージョンなどで歌い継がれているのですから。

オリジナルの歌謡曲には、映画やテレビの主題歌として発売されているものが多いというのもこのころの特徴です。
『いつも心に太陽を』はNHKテレビ歌謡、『手編みの靴下・二人の高原』は舞台・映画になった『私と私』の挿入歌、『幸福のシッポ』はNHKの『夢で逢いましょう』で今月の歌として森山加代子によって歌われています。『若い季節』もNHKテレビの同名番組の主題歌。『舞妓はん音頭・うちら祇園の舞妓はん』は宝塚映画『若い仲間たち』の主題歌になっています。
今よりもタイアップ的な色合いが強い時代だったのか、はたまた歌だけでなく、総合的な娯楽として映画・テレビ・歌などが一体となって送り出されていたのか、どうだったんだろう。

歌謡映画というのは青春歌謡、GS歌謡を経て昭和48.9年頃まで作られていたと思いますが、(定かではありません)森田健作主演の『ひとつぶの涙』がたしか49年だったと思います。この後いわゆるヒット歌謡映画は無かったような気がします。これには『ちぎれた愛』を歌う西城秀樹や『花物語』か『三色すみれ』のどちらかを歌う桜田淳子も出ていました。(花の高二トリオの初恋時代なんていうのもありました。)

このアルバムを通して聴くと、外国産のポップス、オリジナル歌謡曲、日本調の俗曲など幅広く取り上げていますが、違和感はなくむしろ統一性さえ感じられます。これはザ・ピーナッツの歌唱が最大の魅力となってピーナッツの歌として歌いこなしているからに他なりませんが、ほとんど全ての編曲をしている宮川氏の力でもあるのではないでしょうか。
このころの他の歌い手、おもに演歌調の歌を聴いて見ると、伴奏がほとんど無いに等しく、歌詞と歌詞の間のフレーズにチャカチャンとかズンチャッチャッ程度の太鼓とラッパしか聞こえてきません。
ボーカルが入っているときは伴奏も同じ主旋律を演奏していてまるで初心者のためのガイドメロディー付きのカラオケ状態です。
そこへいくと宮川氏の場合フルオーケストラのゴージャスな演奏が歌の世界を広げてくれます。やはりジャズ・ピアニスト出身という彼ならではのアレンジで、専門家ではないのでよくは知りませんが、使う楽器も演歌歌手のものとは違ってたんだろうなァと思います。

とにかく人気絶頂期のザ・ピーナッツの歌声を堪能できる2枚組です。


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